Q.景気がよくなる前に住宅ローンを組んだ方がいいのはなぜですか?

住宅ローンを検討中の30代の社会人です。

検討はしているものの、すぐにというつもりはなく、2~3年のうちに、というつもりだったのですが、最近の景気の動向から、早めに住宅ローンを組んだ方がよいと、知人に勧められています。

実際問題、組もうと思えば組めないわけではありませんし、多少、前倒ししても構わないのですが、景気がよくなってから組むのとその前に組むのとでは、何かちがいはあるのでしょうか?

A.金銭的に有利になる場合が多いからです。

住宅ローンを組む時期と景気の動向の関係についてのご質問ですが、結論から申し上げますと、景気が明らかによくなっていくのであれば、よくなり始める前から、ごく初期の段階で住宅ローンを組まれる方がよいかと思います。

理由は、冒頭にも挙げましたように、金銭面なのですが、具体的には、以下にご説明します。

まず、景気がよくなる前に組んだ方がよい、最も分かりやすい理由は、住宅ローンの金利の問題です。

景気がよくなりますと、それにつれて住宅ローンの金利も上昇することが予想されます。
金利が上がれば、当然、支払わなくてはならない利息の額も増えますから、結果的に、金銭面での負担が大きくなります。

金利の数字だけ見ますと、ほんのわずかなちがいに見えるかもしれませんが、最終的には何百万円もの差となって響いてきます。

それだけのお金が浮けば、家のリフォームや車の購入、海外旅行など、いろいろな使い道が考えられます。
ですので、金利が上がりそうな場合には、早めに手を打っておいた方がよいわけです。

また、見逃しがちなことですが、景気がよくなるにつれて、住宅ローンを組んだり、住宅を購入する際にかかるお金も増大する可能性があります。

さらには物価の上昇に伴って、生活費の増大もありえますし、住宅自体の値段も上がってしまう可能性があります。

同じクラスの住宅を購入するのに、より多くのお金が必要となるのであれば、そうなる前に住宅ローンを組んでしまった方がよいのは、言うまでもないことでしょう。

さらに考えられる最悪のパターンは、景気がよくなり、住宅ローンの金利も物件自体の価格も各種費用も生活費も上がったのに、もらえる給料の額だけは以前と変わらない、というパターンです。

これは、実際にそうなるかどうかはそれぞれの方によってまちまちですし、また、正社員の方と非正規の方では変わってくることが予想されます。

しかし、ここ最近の日本企業の姿勢を見ていますと、少々、景気がよくなったくらいでは、給料を上げてくれない可能性も多々あるのではないかと思われます。

そうなりますと、金利も、その他にかかるお金もすべて上がったのに、収入は以前のまま、ということになり、経済的に非常に厳しい状態にもなりかねません。

逆に最高のパターンとしましては、景気がよくなるにつれて、金利もその他にかかるお金も上がったけれど、いち早く住宅ローンを組んでいたために利息は安いままで済み、しかも給料も上がって、生活にこれといった支障はないどころか、むしろ改善、といったケースが考えられます。

以上のようなことを考え合わせますと、景気がこの先ずっとよくなるのであれば、早い段階で住宅ローンを組んでしまった方がよい、ということになります。

ただ、ここで考えておかなくてはいけない点が、2つ、あります。

ひとつは、<本当に景気はこの先ずっとよくなるのか>、ということ、そしてもうひとつは<ご自身の状況が住宅ローンの負担に耐えうるのか>、ということです。

景気の動向に関しては、専門家でも読み違えることがあるのは歴史が証明していますので、住宅ローンのような長期の返済を要するものに関しては、なかなか判断がつきかねるところがあります。

ですので、これに関しましては、申し訳ありませんが、自己責任で判断していただくしかありません。

しかし、もう一方の住宅ローンを返済していける状況かどうかという点に関しては、現時点ではっきりとした見通しを立てることが可能です。

ですので、しっかりご確認いただいてから、ご決断いただければと思います。

乗り遅れないようにと焦って、無理に住宅ローンを組まれましても、先が苦しくなるだけですので、この点、特にご注意いただければと思います。