Q.住宅ローンの頭金は用意した方がよいのでしょうか?
近い将来、住宅を購入しようと思っています。
質問というのは、住宅ローンの頭金についてです。
私が検討している住宅ローンは、どれも頭金が不要なものばかりなので、現状では、頭金を用意しない方向で考えています。
ですが、年配の人に聞くと、「頭金は用意した方がよい」という意見も多いです。
住宅ローンの頭金は、用意した方がよいのでしょうか?
A.ケース・バイ・ケースです。
住宅ローンの頭金を用意した方がよいのかというご質問ですが、結論から申し上げますと、ケース・バイ・ケースです。
判断の基準としましては、<ご自身の生活を圧迫する可能性があるかどうか>、ということになってきます。以下に、順を追って、ご説明します。
まずは、住宅ローンの頭金を用意した場合のメリットについてです。
これは、頭金の使い方によって、以下の2種類に分けられます。
ひとつは、<住宅ローンの返済に関する負担が軽減される>、ということです。
これは、最初から想定していた物件購入価格のうち、その一部を頭金で払ってしまう場合のことです。
たとえば、元々2500万円の物件を購入する予定でいて、うち500万円を頭金で払ってしまうといった場合です。
頭金で、すでに、元本の一部を支払った状態から返済が始まりますので、払わなくてはいけない利息の総額も、その分、少なくなります。
例の場合ですと、2500万円に対する利息ではなく、2000万円に対する利息となりますから、その分、利息が安くて済むわけです。
また、元々の元本が少ない状態から返済が始まりますので、返済終了までに要する期間も、さらに短くなることが予想されます。
住宅ローンの返済というのは、ある意味見えないプレッシャーみたいな面もありますから、より早く解放され、返済総額も安くて済むというのは、なかなかのメリットということができます。
もうひとつは、<よりよい物件を購入できる可能性が出てくる>ということです。
この場合の<よりよい>というのは、簡単に言うと、<値段が高い>ということです。
こちらは、先のケースとはちがった考え方になります。
たとえば、仮に、<2500万円の住宅ローンなら返済していけそう>だとします。
そして、<頭金を500万円、用意できる>とします。
先のケースでは、<2500万円の物件を、頭金を用意することで、実質2000万円分の返済で済む>という考え方です。
こちらのケースでは、<2500万円分の返済能力に、頭金の500万円を加えることで、2500万円+500万円=3000万円分の物件を購入できる>と考えます。
頭金の500万円を用意したことで、購入できる物件は2500万円のものではなく、3000万円のものになります。
しかも、返済していくのは当初の予定と同じ2500万円ですから、返済の方も無理なくできる、というわけです。
つまり、<あとの返済が楽にならない>代わりに、<頭金を上積みした分だけ、より値段の高い、よりよい物件を購入できる>、ということになります。
このように、頭金には、2種類の使い方があります。
<返済額を減らすための頭金>と、<物件の購入額を上げるための頭金>です。
どちらのやり方にも、それぞれメリットがありますので、ご自分のニーズに合わせて、適宜、ご選択ください。
次に、頭金を用意することのデメリットについてです。
冒頭にも挙げましたが、基本的には、<ご自身の生活を圧迫する可能性がある>場合には、頭金を用意されることは、あまりおすすめできません。
具体的に言いますと、<頭金を用意したために、何かの時のための余剰資金がほとんどないような状態になってしまう>というようなケースです。
これは、家計的に無理をしているということですから、ほんのちょっとしたことで生活が破たんしてしまう可能性が高いです。
また、当然のことながら、<借金して頭金をねん出した>というようなケースも、これに該当します。住宅ローンの返済に加えて、そちらの借金の返済も負うことになってしまいますから、これまた、生活が立ち行かなくなる可能性が非常に高いです。
なお、念のために書き添えておきますが、住宅ローンを組む際には、諸費用もかかりますし、住宅を持てば、賃貸の時には払う必要のなかった税金も払わなくてはなりません。
かつかつの状態で頭金をねん出していると、完全に行きづまりかねませんので、特にご注意ください。
結論としましては、<頭金は用意した方がよいが、あくまでも生活の安定を確保できる範囲内で>ということになります。