Q.住宅ローンで破綻しないための目安を教えてください。

将来的に住宅ローンを組もうと思っているのですが、どの程度の額まで組んでも大丈夫なのかが、よく分かりません。

もちろん、いい物件はほしいのですが、かといって、住宅ローンが破たんして生活ができなくなるのはイヤです。
それに、額の目安が決まらないと、物件探しを本格的に始めることもできません。

何か、分かりやすい目安があったら、教えてください。

A.<年収の4倍程度>や、<返済比率が25%程度>、などがあります。

住宅ローンで破綻しなくても済みそうな額の目安を知りたい、というご質問ですが、分かりやすい基準としては、年収や返済比率を基準としたものがあります。

以下に、順を追ってご説明します。

まずは、年収を基準としたものです。
この場合には(個人差はありますが)、<年収の4倍程度>が、ひとつの目安になろうかと思います。

一般によく言われているのは<年収の5倍程度>なのですが、これだと、少し厳しいかと思います。

<このくらいまでは貸してくれる額の目安>としては、確かに<年収の5倍程度>で合っているのですが、<さほど無理なく返していける額の目安>としては、<年収の4倍程度>と考えておかれた方がよいでしょう。

ここで、ひとつ、注意しておいていただきたいのは、この<年収の5倍>という場合の<年収>とは、住宅ローンを組まれる方が多い、20代~30代の方に関する話だということです。

40代~50代(またはそれ以上)の方の場合には、<年収の5倍>というのは、まず無理です。無理というのは、<返済するのが難しい>という意味と、<年齢層が上の方の場合、年収の5倍に当たるような額の融資は、最初からしてもらえない(=審査を通らない)>という、2つの意味があります。

年齢が上ということは、当然、融資後の勤続年数も短くなることが予想されますので、返済自体に困難が予想されます。また、そういった事情は審査する側も分かっていますから、20代や30代の方とは異なる審査結果になる可能性が高いのです。

ですので、<年収の5倍>というのは、あくまで、<住宅ローンに加入する主な年齢層である、20代から30代の方に限っての話>、だと思ってください。

また、融資してくれる額としては、確かに<年収の5倍程度>なのですが、<年収の5倍程度>の額を借りた場合、他のいろいろなことをあきらめなくてはならなくなる可能性が高くなります。

<住宅ローンの返済だけを目的として生活を切り詰めれば、返済可能な額>という意味での<融資可能額>なのです。
ですから、そこそこ楽しみもあったり、何かの時の備えも用意しておける範囲としては、<年収の4倍程度>と考えておかれた方がよいでしょう。

ただし、住宅ローンの返済に関しては、さまざまな要素がからんできます。そういった意味では、<年収の4倍>というのは、非常におおざっぱな目安にしかなりません。
住宅ローンの返済は、お金(それも大金)に関わることなのですから、シビアに考える必要があります。

その場合に参考にできるのが、住宅ローンの返済比率です。

住宅ローンの返済比率とは、<年間の合計返済額が、ご自分の年収の何%に当たるのか>、というものです。

住宅ローンを組まれる際の利用法としましては、まず、住宅ローンのシミュレーションを使って、年間の合計予想返済額を出します。次に、その合計予想返済額が、ご自分の年収の何%に当たるのかを計算します。

たとえば、あなたの年収が400万円で、ある物件に関して返済シミュレーションを行なったところ、毎月の予想返済額が10万円になったとします。
毎月10万円ということは、1年間の合計予想返済額は、[10万円×12ヶ月=120万円]になります。

年収400万円と仮定していますので、この場合の返済比率は、[120万円÷400万円=30%]となります。

次に、どの程度の返済比率が望ましいのか、ということについてです。
生活を圧迫しない範囲で返済していける目安としては、返済比率25%が、ひとつの目安といえます。

先の例のように、返済比率が30%になってしまいますと、生活を圧迫する可能性が高くなってきます。

現実には、返済比率30%の方も多くいらっしゃるようですが、安全運転で行きたいのであれば、25%をひとつの目安とされた方が無難です。

最後にひとつ、ご忠告申し上げておきたいのは、このように住宅ローンの融資額を検討する場合、<誰がいくらぐらい借りている>といったことは、気にされない方がよいということです。

そういったケースでは、どうしても極端な例にばかり、目が行きがちです。それに、はたから見ていて普通に暮らしていけているようでも、中では火の車かもしれません。

他の方の状況を参考にされるのもよいのですが、基本的にはご自身の生活や年収をベースにしていただいて、返済比率を参考にしつつ、融資額についてご検討いただくのがよいかと思います。