Q.住宅ローンを多めに借りて、自分で使うというのはアリでしょうか?
住宅ローンの検討が、最終段階に入っている者です。
物件もほぼ本決まりで、返済のめども立っているのですが、不動産屋の方からある提案があり、迷っているところです。
実は、住宅ローンの融資限度額に比べて、物件の価格がはるかに低く、限度額まで、かなり余裕がある状況です。
そこで不動産屋から提案があったのが、住宅ローンを多めに借りてはどうかということです。
多めに借りた分は、自分で好きに使えるということで、住宅ローンですから金利も安いですし、かなり魅力的に感じています。
そこで質問なのですが、住宅ローンを多めに借りて、余ったお金は好きに使っても、大丈夫なのでしょうか?
A.法律違反に当たりますので、大丈夫ではありません。
不動産屋の方から住宅ローンを多めに借りてはどうかとの提案があったが大丈夫なのか、というご質問ですが、結論から申し上げますと、大丈夫ではありません。
住宅ローンを多めに借りることを<オーバーローン>と呼んでいるのですが、これは、れっきとした法律違反です。
また、<オーバーローン>を行なうことによるデメリットが大き過ぎるため、とてもおすすめはできません。
(※<オーバーローン>という言葉にはいろいろな意味がありますが、ここでは、ご質問の内容に該当する意味での<オーバーローン>について取り上げさせていただいています)。
具体的には、以下にご説明していきたいと思います。
まず、なぜ<オーバーローン>が法律違反なのか、ということについてです。
そもそも住宅ローンというものは、住宅の購入に当てるためのローンです。
ご質問にもありましたが、住宅ローンの金利はカードローンなどに比べて低めになっています。
これは、住宅の購入に使うという目的限定のローンだから、金利が低く設定されているのです(実際に利用可能な資金の使途に関しては、各商品説明書をご確認ください)。
それを、設定された資金使途以外に使うために借りるというのは、銀行等を欺く行為となり、銀行等に対する詐欺と言えるものなのです。
次に、<オーバーローン>を行なうことによるデメリットについて、ご説明します。
<オーバーローン>を行なったことが判明した場合、住宅ローンの借入金を、全額一括返済しなければならなくなります。
20年、30年かけて、分割して返済していこうとしているものを、一括ですから、一度にまとめて返済しなくてはなりません。
一般的なご家庭でしたら、おそらく、家を手放さなければならなくなるでしょう。
しかも、<オーバーローン>では、さらに困ったことになります。
<オーバーローン>とは、物件の価格以上のローンを組んでいるということですから、家を手放した程度では、足りないのです。
たとえば、3000万円の物件を、<オーバーローン>で3500万円の住宅ローンを組んだとします。
もし、家が3000万円で売れたとしても(これ自体も望み薄ですが)、まだ500万円が必要です。
<オーバーローン>で借りた余分の500万円に関しては、もうとっくに使い切っているはずですから、家を手放した上に、どうにかして500万円(またはそれ以上)用意しなくてはなりません。かなり大変な事態になるわけです。
ちなみに、非常にまれなケースではありますが、<オーバーローン>を組んだことで、逮捕されたという例もあります。
以上のように、<オーバーローン>は不法行為である上に、デメリットも大きいため、おすすめはできません。
なお、念のため、書き添えておきますが、<オーバーローン>が発覚した場合、不動産屋の方も仕事ができなくなります(銀行に出入り禁止になってしまうのです)。
ですので、この先もずっと不動産屋を続けていこうと思っていらっしゃる方や、大手の不動産屋では、普通、そういったことは勧めないものなのです。
とにかく、<君子、危うきに近寄らず>、です。
住宅ローンは普通に組んでいただいて、ご自身の楽しみのためのお金は、また別で考えていただければと思います。